その眠れなさ、ちゃんと理由があります
「あと2時間だけ眠れたら」。布団の中でスマホの時計をそっと確認しながら、そんなことを考えた夜はありませんか。
仕事を少しでも早く終わらせようと頑張って、気づけば日付が変わっていた。明日の予定を考えているうちに、目が冴えてしまった。理想としてはもっと眠りたいのに、現実はなかなかそうさせてくれない。その差に、心がすり減っていくような感覚を抱いている方は、実はとても多いのだと思います。
頭の中では、明日の会議のことや、まだ返しきれていないメッセージのことが、ぐるぐると巡っていて、目を閉じても意識だけが冴えてしまう。布団に入ってからも、つい仕事のことを考え続けてしまう。そんな夜を、何度も繰り返している方もいるかもしれません。
今まで、よく頑張ってきましたね。眠る時間を削ってまで何かをこなしてきたのだとしたら、それは決してあなたが怠けていたからではありません。それだけ責任感を持って、日々と向き合ってきた証なのかもしれません。
実は私自身も、締め切り前になると「あと2時間だけ」を繰り返して、気づけば3時間しか眠れていない、ということが何度もありました。布団に入ってからもパソコンの続きが気になってしまい、結局スマホでメールを開いてしまう、ということもありました。翌朝、些細な一言にイライラしてしまって、自己嫌悪になったこともあります。だから、その苦しさは、少しだけ分かるつもりでいます。
その苛立ち、心が弱いせいだと思っていませんか
睡眠が足りていないと、些細なことにイライラしてしまったり、誰かの一言が必要以上に胸に刺さってしまったりすることがあります。既読がついたのに返事が素っ気なく感じられて、「怒らせてしまったかもしれない」と勝手に不安になってしまう。そんな経験がある方もいるかもしれません。
でも、少し立ち止まって考えてみると、その返事が素っ気なかったのは、相手がただ忙しかっただけかもしれませんし、特に他意はなかったのかもしれません。本当に「怒っている」と言い切れる根拠は、実はそれほど多くないことに気づくこともあります。眠れていない頭は、はっきりしないことを、つい悪い方に決めつけてしまいやすくなるのです。
会議中に、同僚の何気ない一言に必要以上にムッとしてしまったり、後になって「あんな言い方をしなくてもよかったのに」と自分を責めてしまったり。そんな経験がある方もいるかもしれません。
これは、あなたの性格が悪くなったわけでも、心が弱くなったわけでもありません。眠りが足りないとき、脳の中で「危険を知らせる部分」が、普段よりも過敏に働いてしまうと言われています。いわば、疲れた脳が「これ以上傷つかないように」と、警報のボリュームを上げすぎてしまっているような状態です。本来なら聞き流せるはずの音に、必要以上にびくっとしてしまうのと、似ているのかもしれません。
だから、いつもなら気にならないはずのことにまで、心が過剰に反応してしまう。それは仕組みの問題であって、あなたの人間性のせいではないのです。
静かな夜に、同じように眠れずにいる人がいます
理想の睡眠時間と、実際に眠れている時間にずれを感じている社会人は、決して少なくないと言われています。もしあなたが同じように感じているとしたら、それはあなただけが特別に弱いからではなく、同じような夜を過ごしている人が、思っている以上にたくさんいるということなのかもしれません。
だからといって、今日から無理に生活を変えなければいけないわけではありません。「眠れていないから、心が敏感になっているだけなんだ」と、まずはその仕組みを知っておくだけでも、十分に意味があると思います。
もし何か試してみたい気持ちがあれば、ひとつだけ、簡単な方法をお伝えします。寝る前に、スマホを布団から少しだけ離れた場所に置いてみる、というものです。私自身、枕元に置くのをやめて充電を部屋の反対側にしてみたら、「あと2時間」のループから少しだけ抜け出しやすくなりました。難しい工夫ではないので、今夜だけ試してみる、くらいの軽い気持ちで大丈夫です。
もうひとつだけ挙げるとすれば、頭の中でぐるぐる巡っていることを、紙に数行だけ書き出してみる、という方法もあります。「明日の会議」「あのメッセージ」というように、単語を並べるだけでも構いません。頭の中に置きっぱなしにしていた考えを、少しだけ外に出してあげるようなイメージです。
もちろん、それすら難しいと感じる日があってもいいのです。通知を切って、今日はただ眠ることだけを優先しても、誰もあなたを責めたりしません。
今夜は、少しだけ早く目を閉じてみませんか
眠れない夜も、眠りが浅い夜も、あなたが何か間違っているからではありません。ただ、少し疲れがたまっているだけなのだと思います。
明日も、無理せず、あなたのペースで大丈夫です。この画面を閉じたら、今夜はいつもより少しだけ早く、目を閉じてみてくださいね。
