その既読のつかなさに、つい疑いを持っていませんか
チャットで送った質問の返事が来ない。既読すらつかない。そんな時、「今、本当に仕事をしているのだろうか」という考えが、頭の片隅をよぎってしまう。そんな瞬間はありませんか。
こんな瞬間に、心当たりはありませんか。
– オンライン状態が「離席中」のまま長時間続いているのを見て、理由もなく苛立ってしまう
– 対応が少し遅れただけの同僚に対して、心の中で「サボっているのでは」と決めつけてしまう
– そんな風に疑ってしまった自分に、後から嫌な気持ちになる
毎日出社して、目の前で仕事をしている姿が見える人と、画面の向こうにいるだけの人とでは、どうしても信頼の持ち方が違ってしまう。そのことに気づきながらも、疑ってしまう自分をどうにもできず、一人でもやもやしている方もいるかもしれません。口に出して「サボっているのでは」と言うわけにもいかず、ただ自分の中だけでその気持ちを処理し続けている方もいると思います。
これまで、キャリアコンサルタントとして多くの方のお話を伺ってきた中で、この「疑ってしまう自分への罪悪感」を抱えている方にも、何度もお会いしてきました。ある相談者の方は、人事の仕事でほぼ毎日出社しており、フルリモートの同僚から質問の返信が半日近く来なかった時、「また連絡が遅い。本当にちゃんと働いているのかな」と、心の中で決めつけてしまったそうです。ところが後になって、その同僚がその日、家族の急な体調不良で病院に付き添っていたと知り、自分の中で勝手に疑っていたことに、強い自己嫌悪を感じたと話してくれました。「大変な中でも、落ち着いたら必ず返信をくれる人だったのに、どうして疑ってしまったのだろう」と、しばらく自分を責め続けていたそうです。
「連絡が遅い=サボり」その決めつけ、本当でしょうか
その方は、「返信が遅いのは、仕事に本気で向き合っていない証拠だ」と、相手の状況を確かめる前から、心の中で結論を出してしまっていました。実際には、その日の事情はまったく分からないままだったにもかかわらず、です。
でも、本当にそう言い切れるだけの根拠があったでしょうか。返信が遅れる理由は、サボり以外にも、家庭の事情や、別の緊急対応、単純な見落としなど、いくらでも考えられます。姿が見えないというだけで、悪い方の可能性だけを選んで信じてしまっていたのだと、その方は後から気づいたそうです。
話を聞いていくと、その方は、物事を丁寧に、抜け漏れなく進めたいという気持ちが強い方でした。だからこそ、相手の仕事の進み方が見えないという状態そのものに、強い落ち着かなさを感じてしまい、その不安を埋めるように、つい悪い方の解釈に飛びついてしまっていたのかもしれません。
これは、その方が意地悪だからではありません。人は、相手の状況が見えないと、その空白を、無意識のうちに不安な想像で埋めてしまいやすいと言われています。姿の見えない相手に対して疑いが生まれやすいのは、その方個人の性格の問題というより、情報が足りない状況そのものが引き起こす、ごく自然な反応なのだと思います。同じ空間で働いていれば、表情や雰囲気から自然に伝わっていたはずの情報が、画面越しではまるごと抜け落ちてしまうからなのだと思います。
「自分も同じことを思われたくない」そこに気づいた瞬間
その方は、自己嫌悪を感じたあと、ふと自分自身のことを振り返ったそうです。自分も繁忙期で返信が遅れてしまった時、周りから「サボっているのでは」と思われていたらどうしようと、不安になったことがあったと。
その瞬間、「相手も今、同じような不安を抱えているかもしれない」と、初めて思い至ったと話してくれました。姿が見えないことへの不安は、出社している側だけでなく、見えない側にも、形を変えて存在しているのかもしれません。お互いが、見えない相手の状況を想像しきれずに、同じような居心地の悪さを抱えていただけなのかもしれません。出社している側とリモートの側、どちらが正しいという話ではなく、お互いの状況が見えにくいという、働き方そのものの性質なのだと思います。
疑う気持ちは消えなくても、一呼吸おけるようになった
その後も、その方の中から「疑ってしまう気持ち」が完全になくなったわけではありません。今でも、返信が遅いと、一瞬もやっとすることはあるそうです。ただ、以前との違いは、そこで一度立ち止まれるようになったことでした。
「もしかしたら、何か事情があるのかもしれない」と、心の中で一言付け加えてから、相手の対応を待つ。それだけで、以前のようにすぐ結論を出して自己嫌悪に陥ることは、少しずつ減っていったそうです。完全に疑いがなくなる日は、もしかしたら来ないかもしれません。それでも、一呼吸おける自分になれたことは、その方にとって、確かな前進だったようです。
今夜は、その疑いを少しだけ脇に置いてみませんか
この話を聞きながら、私自身も、姿の見えない相手を信じ続けることの難しさを、改めて感じました。今、同じように誰かを疑ってしまう自分に嫌気がさしているあなたの気持ちも、少し分かる気がします。
もし、少しだけ試してみたい気持ちがあれば、疑いそうになった瞬間に、「他にどんな理由があり得るか」を一つだけ考えてみる、という方法もあります。悪い答えに飛びつく前に、立ち止まる時間を作るだけで、見え方が変わることがあります。
もうひとつ、気になることがあれば、疑ったまま心の中で抱え込まずに、「大丈夫ですか」と一言だけ聞いてみる、という方法もあります。確かめることは、相手を責めることとは違います。
もちろん、今はまだ、そこまで気持ちを切り替えられないなら、無理に変えなくても大丈夫です。何も行動を変えなくても、「疑ってしまうのは、見えないことへの不安から来ているだけなんだ」と知っておくだけで、少し心が軽くなることもあります。
明日も、無理せず、あなたのペースで大丈夫です。今夜はその疑いを少しだけ脇に置いて、ゆっくり休んでくださいね。
静かに休むことを選んだ人は、あなたが思うよりずっと多いのかもしれません
私はキャリアコンサルタントという国家資格を持ち、これまで多くの方のお話を伺ってきました。その中で、心がすり減ってしまい、思い切って仕事を休んだり、誰かに相談する決断をした方に、本当にたくさん出会ってきました。表向きは元気そうに見えていた方が、実はずっと一人で無理を重ねていた、ということも珍しくありません。
あなたが今感じている疲れも、決して特別なものではないのだと思います。同じように、誰にも言えないまま夜を過ごし、それでもなんとか毎日を続けている方が、あなたの想像以上にたくさんいます。ただ、それぞれが静かに耐えているだけで、お互いの姿が見えていないだけなのかもしれません。
「もう限界かもしれない」という諦めに近い気持ちと、「それでも、まだ大丈夫でいたい」という小さな踏ん張りが、心の中で同時に存在していることもあるかもしれません。そのどちらも、無理に消そうとしなくて大丈夫です。相反する気持ちを抱えながらここまで来られたこと自体が、すでに十分すぎるほどの頑張りです。
もし、少しだけ心が動くようなら、身近な人に「実は最近、少し疲れているんです」と、一言だけ伝えてみるのもひとつの方法です。それも難しいと感じるなら、利害関係のない専門家に話を聞いてもらう、という選択肢もあります。
もちろん、今すぐ相談する必要はありません。「そういう選択肢もある」と知っておくだけで、心の中に小さな逃げ道ができることもあります。無理に行動を変えなくても大丈夫です。今はただ、ゆっくり休むことを選んでも、それは決して間違いではありません。
もし疲れた時は下記ブログも読んでみてください。
https://aizawa-works.com/mental-ai-self-care/
